コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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「高血圧放置。心臓肥大で心不全に」

診察室血圧140/90ミリヘクトグラム以上は高血圧の目安となるが、高血圧状態が続いても一般的に自覚症状に乏しい。ただし、体内では、血管壁への圧力などで動脈硬化が進むことは、一般的によく知られているだろう。心臓への負担も重くなる。

「心臓は1日に約10万回も拍動しています。高血圧では、拍動する力が強くなるため、放置することで心臓肥大につながるのです」と、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の原英彦准教授は話す。心臓病の診断・治療を得意としている。

心臓を収縮させて血液を送り出し、一方で拡張させて血液を心臓内にためる役割は、心臓の筋肉「心筋」が行っている。たとえば、スクワットを毎日繰り返せば、太ももの筋肉は鍛えられて太くなってゆく。心筋も、高血圧で負荷をかけて拍動し続けると、厚く肥大してゆくのだ。太ももの筋肉は太くなれば基礎代謝を上げるが、心筋は厚くなると不健康になる。

「心筋が肥大すると左心室(心臓の左下)の血圧も上がってしまい、心臓の機能が低下して心不全につながるのです。また、行き場を失った血液が血管から漏れて、肺に水がたまって肺の機能も低下します」

高血圧を放置すると、知らぬ間に心肺機能が低下し、命に関わるような事態につながりかねないのだ。

「冬場は屋内外の温度差で血圧変動が起こりやすい。高血圧を放置しないように、食事での減塩と、適度な運動を心掛けましょう」

自覚症状に乏しくても、高血圧が体内で異変を引き起こすことをお忘れなく。