緊急事態宣言などが出ているとあって、仕事はリモートワークに変えているところが増えています。

それが、新型コロナの感染を抑えるとはいえ、「仲間と会えない」「遊べない」「食事会ができない」では、ストレスはたまるばかり。これによって「うつ病」や、うつ病と間違えられる「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」が増えています。

このLOH症候群は、一般的には男性更年期障害と呼ばれ、治療の中心は男性ホルモン(テストステロン)を増やす「テストステロン補充療法」。加えて、患者自身ができるのは「生活改善」で、最終回の今回は「ストレス解消」を取り上げます。

実はストレスはテストステロンの大敵。ストレスを解消することによってテストステロンを高めることができるのです。

日本人はどのような人が幸せかというと、「友だちをたくさんつくって、みんなとワイワイ話をする。みんなと笑って過ごして、新しいことにチャレンジする人」だと思います。でも、今はそれができない。それならば、ストレス解消にリラックス法を実践すべきです。リラックスするには交感神経を鎮めて副交感神経を有意にすることです。

これまでに取り上げた「運動」「睡眠」は副交感神経を有意にします。加えて、「好きな音楽を聴く」「入浴」「ヨガ」「座禅」「好きなスポーツを見る」など、自分の趣味を生かすのも、ストレス解消には有効です。

それ以外に、モノは考えよう。コロナ禍で自宅にこもっていると、「マヨネーズを買ってきて!」と奥さんに頼まれることも。そんな時、「自分でいけば…」と嫌々行くのではなく、「いつもおいしい食事をありがとう」と感謝の心で買いに行くと、ストレスはたまることがない。

ぜひ、実践してテストステロンを高め、楽しめる、いや楽しんでもらえる男性を目指してみてはいかがでしょう。(取材=医学ジャーナリスト松井宏夫)(おわり)

◆お知らせ 次回から「万病を防ぐオーラルケア」を連載します。歯学博士の照山裕子氏が担当します。

◆井手久満(いで・ひさみつ) 1991年宮崎大学医学部卒業。国立がんセンター、UCLAハワードヒューズ研究所、帝京大学等を経て、20年4月から独協医科大学埼玉医療センター教授、低侵襲治療センター長。ロボット支援手術プロクター認定医、日本メンズヘルス医学会理事、日本抗加齢学会理事等。前立腺がん予防や男性ホルモンが研究テーマ。今年9月18~19日、日本メンズヘルス医学会を会長として開催する。