処方箋がなくても入手できる洗口液は、気づいた時に購入し、どこでもさっとゆすげる便利さがあります。販売される商品は年々増え続けていますが、消費者からすると何をポイントに選べば良いかわからないという声も耳にします。

紀元前のギリシャでは医学の祖といわれるヒポクラテスが口臭指導をしており、香料が含まれた白ワインでうがいをする方法が記録に残っているそうです。スキンシップが慣習の国々では相手と接する距離も近いため、洗口液を日常に取り入れる人の割合が多いなどオーラルケアの意識も高い傾向にあります。

欧米において使用実績が長く、臨床データが積み上げられた薬用成分の中で代表的なものは<1>エッセンシャルオイル(商品例リステリン、リステリンナチュラルケア)<2>グルコン酸クロルヘキシジン(商品例コンクールF、CHX洗口液)<3>セチルピリジニウム塩化物(商品例モンダミンメディカルケア、ガムデンタルリンスナイトケア、薬用ピュオーラ洗口液)の3種類です。

<2>と<3>について意外と知られていないのが、歯磨剤の中に含まれるラウリル硫酸ナトリウムと反応し殺菌効果が低下してしまう点です。このため、通常のブラッシングと併用する場合は水でしっかりゆすぎきった後に洗口液でうがいをするか、時間を空けてからの使用が推奨されています。

新型コロナウイルスに関して世界中でさまざまな検証がなされているなかで、水や洗口液を用いてうがいをした後は、2時間ほど口内のウイルス量を低下させることができたというスペインからの報告もありました。まだまだ出口が見えない生活の中、この連載でお伝えしたことが皆さんの生きるヒントになり、命の尊さや健康のありがたみを見つめ直すきっかけになっていればうれしいです。(おわり)

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)日本大学歯学部卒。同大学大学院歯学研究科を経て東京医科歯科大学歯学部付属病院勤務。テレビやラジオでのわかりやすい解説が評判となり、雑誌のコラムや日刊スポーツでの連載を担当。文筆家としての活動も積極的に行う。現在は東京医科歯科大学非常勤講師、日本アンチエイジング歯科学会理事、複数の歯科クリニックで診療。

 

◆次回から医師で作家の鎌田實さんの登場です。「コロナに負けない生き方」を連載します。