■相手の身になる練習

「相手の身になる練習」(小学館)という本を、4月1日に出版しました。中学生向けの新しいシリーズですが、中学生だけではなく、ご両親や祖父母の方にも読んでもらいたいと思って書きました。

■生き抜くために

生んでくれた両親がぼくを育てられなくなって、貧しい家庭に引き取られました。子どもの頃、近所の家でよくご飯を食べさせてもらいました。

どこの家に呼ばれても、「おいしい、おいしい」と言って食べました。夕食を作ってくれた人の身になったのです。おばさんは、「またいらっしゃい」と言ってくれました。人気者になりました。

生き抜くために、相手の身になる練習を積み重ねてきたように思います。

■赤字解消に成功

医者になって、累積赤字4億円の病院に赴任し、30代で院長になりました。60代の先輩の副院長や部長がいて、看護師さんがいて、掃除の方がいて、皆それぞれ考え方が違います。

相手の身になるということを繰り返しているうちに、働くチームワークが作られていきました。仕事が面白くなったようです。

15年後には、30億円の蓄えを作って、若い院長へバトンタッチすることができました。

相手の身になることで、人生を豊かにすることができます。コロナ鬱(うつ)やコロナストレスが広がっている今こそ、相手の身になってあげると、あなたの周りはあたたかくなると思います。

◆テレビ、ラジオでもおなじみの医師で作家の鎌田實氏が、長引く新型コロナウイルスの感染症との付き合いで、私たちにできること、いかに困難と向き合っていくか、じっくりとお伝えしていきます。