『テレワークでの言動に注意しよう』

テレワークは自宅にいながら複数の人と会話ができ、会議も行えて便利だが、職場の雰囲気に暗い影を落とすことがある。

「対面での会議では、部下に言い過ぎても会議が終わった後に『帰りに一杯行くか~』など、フォローの機会がありました。テレワークではそれがないため、新入社員から中堅社員まで、適応障害になる人が増えていると感じます」と、杏林大学名誉教授の古賀良彦医師。精神神経科領域のエキスパートであり、現在、産業医として患者を診ている。

適応障害は過度なストレスが原因となって心身に悪影響を及ぼし、気分の落ち込みや不眠のみならず、頭痛や腹痛、食欲低下などの体調不良も伴い、日常生活に著しく支障が生じる。

「受診される会社員の方では、『仕事を辞めたい』といわれる人がコロナ禍以前より増えました。コロナ禍での新しい生活が明るい職場ではない方が、少なからずいるのです。それを企業も認識すべきといえます」

もちろん、上司からすれば「相手を傷つけるつもりはない」「当たり前のことをいっただけ」ということもあるだろう。かつては、「帰りに一杯」でフォローができても、それがないゆえに部下は傷ついたままということを、まずは認識することが大切といえる。

「新しい生活環境は、誰にでも少なからずストレスになります。それを解消するため、日々の生活の中で、ちょっとしたストレス発散を心掛けましょう」と古賀医師。次回紹介する。