うつ病の予防や治療に「運動」もまた効果的だ。実際には何から取り組むか。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授はこう話す。

「簡単にできるウオーキングがおすすめです。まずは週3回、1日30分を目標にしましょう」

気力が湧かず何事にもおっくうだといった状態のときは運動がかえってストレスになり病気を悪化させてしまう可能性もある。したがって調子のよいときに始めることが運動を長続きさせるコツだ。

「うつ病の患者さんでは午前中の調子がよくない、午後に気分がよくなるといったことが多いのですが、午後に運動すると効果的です。一般的には空腹時の運動が効果的と言われますが、糖尿病などでは空腹時の運動は低血糖発作を起こす危険があるので食後の運動がよい。うつ病でも食後がよく少し休んでからがいい」

症状が強いときは朝起きたら日光を浴び、少しストレッチをする程度でかまわない。

「うつ病でもそうでない人でも、予防のためにウオーキングは続けると効果が出ます。歩数計を買う、記録する、歩く用事を増やす、エスカレーター、エレベーターを使わず階段を上り下りする、という具合に何か目的を持って歩きましょう」

ウオーキング時には歩幅を大きくリズミカルに。かかとから降りつま先で蹴る。ややきつい程度がより効果的だ。足腰への負担を和らげるノルディックウオーキングも人気なのでトライしてはどうだろう。