精神栄養学が解き明かすこころの病。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授はこう話す。

「脳の視床下部からストレスホルモンのもとになる物質が分泌され、その刺激により副腎から出るコルチゾールがストレスに対抗して頑張ることができます。ただしストレスが長く続いてコルチゾールが高い状態では脳がダメージを受けててうつ病の発症につながると考えられています。そこでビタミンCが役に立つ。ビタミンCにはストレスホルモンであるコルチゾールにブレーキをかける作用があり、脳が受けるダメージを抑えると考えられます」

また、「鉄」や「亜鉛」といったミネラル不足もまた「うつ病」とかかわっているという。功刀主任教授が続ける。

「鉄欠乏といえば貧血をイメージする人が多いですが、脳の機能も影響を及ぼすことがわかっています。その結果たとえば睡眠障害、焦燥感、集中力の低下、無関心などが引き起こされるわけですが、私たちの研究でもうつ病の患者さんはそうでない人と比べて鉄欠乏貧血の割合が高く、うつ病でない人たちの中であっても鉄欠乏貧血の人はそうではない人に比べてストレス症状が高い結果でした。また、鉄欠乏貧血は女性に多いので女性は特に注意が必要です」

功刀主任教授によれば、鉄不足は脳内の神経伝達物質であるドーパミンのはたらきを害する。ドーパミンの機能異常によって「むずむず脚症候群」の発症の可能性もあるほかうつ病にも関連するという。