精神栄養学の第一人者で帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授が指摘する不足しがちな栄養素に注目。「うつ病」などに関係する「鉄」の吸収を「ビタミンC」がよくしてくれる。その一方で「亜鉛」の不足にもうつ病の患者のほうが多いことがわかってきた。亜鉛といえば男性機能にもかかわる栄養素として知られている。功刀主任教授がこう指摘する。

「必須ミネラルである亜鉛は成人男性で体内に2~3グラム存在しその約6割が骨格筋、同じく3割が骨にあります。脳にも多くとくに神経細胞が情報伝達に必要なシナプスにたくさん含まれているのです」

ちなみに亜鉛は新たな細胞を産生するためには欠かせないミネラル成分。骨や成長などにも大きくかかわっている。亜鉛不足が味覚障害を起こすのは味を感じる舌の味蕾(みらい)が減少するのが理由だが、亜鉛は遺伝情報をもつDNAの複製などには欠かせない。

「亜鉛の吸収を妨げるリンは食品添加物に含まれておりとり過ぎに注意。アルコールは亜鉛の排せつを促進するので要注意。ミネラルはタンパク質といっしょにあるので肉、魚、卵などタンパク質の豊富な食べ物を。ビタミンCなどは鉄や亜鉛の吸収をうながすので野菜、果物もじゅうぶんにとりましょう」(功刀主任教授)

また、「リチウムやマグネシウム」といった微量ミネラルも大切だ。リチウムは「躁(そう)うつ」などの治療に用いられている薬の成分のひとつだ。