魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)などがうつ病の治療にも役立つことは前回の通り。帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授の話。

「ベジタリアン(魚を食べない)にはうつ症状が少ないという研究結果もありますが、それは野菜中心の食事はもともと炎症を引き起こしにくいので、EPAの抗炎症作用がなくても問題ないということによるのでしょう」

もうひとつ大事な栄養素が「葉酸」だ。葉酸の値が低いとこころにも影響する。葉酸はビタミンB群のひとつだが、妊娠女性で欠乏すると胎児に悪影響を及ぼすといわれている。

また、血液中の葉酸を調べるとうつ病の患者はそうでない人に比べて低値である傾向があるという。食生活による葉酸摂取量についてもそれが少ないとうつ病のリスクを高めるという結果が多い。

「葉酸がうつ病の治療や予防に有効だということがさまざまな研究で明らかになってきました。うつ病あるいはうつ症状は血液中の葉酸値が低い傾向があるということ。次に葉酸の摂取量が少ないとうつ病のリスクが高まるというものです。葉酸による補充療法がうつ病に効果的だという報告もあります」

葉酸は脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンの合成にかかわるほか、タンパク質、DNAなどの合成にも必要とされている。

「葉酸の欠乏は貧血以外にもうつ病にもなりやすいのです」