昨年の「食事摂取基準」にみる食物繊維の目標値は男性が21グラム以上(18~64歳)、女性が18グラム以上(15~64歳)だが、それに対して20~59歳の男性と59歳以下の女性は、いずれも目標値を下回る結果となっている。

精神栄養学に詳しい帝京大学医学部精神神経科学講座の功刀浩主任教授は次のように言及する。

「この食物繊維の摂取量の少なさが腸内環境の悪化にも関係しているのではという指摘があります。さらに果物、野菜の摂取量も異常に減っているのです」

近年、腸内環境を改善する「腸活」で注目されている食物繊維。裏を返せば現代人の摂取量の減少傾向のためともいえる。果物についても同様の傾向がみられる。

「総務省の家計調査によれば年間の世帯あたりの果物消費量は2002年から19年までの間に約3割も減少しています。1日あたりの年代別の消費量では20代から50代の働き盛りがとくに不足しがちだといえます」

野菜や果物にはビタミン類が豊富で食物繊維の補強にも役立つ。たとえばビタミンCは鉄の吸収を助けメンタルヘルスの正常化に期待されている。

「ビタミンCには、それが過剰になるとうつ病のリスクになるコルチゾールを抑える役割があり、ストレスホルモンを正常化することを助けてくれます。メンタルヘルスに貢献する栄養素を含む食品を、気分を前向きにするための毎日の『ポジティブフード』として意識的に摂取してほしいですね」