スポーツ栄養学による「コンディショニング」を通じてスポーツ選手の栄養サポートなどに詳しい女子栄養大学栄養学部の上西一弘教授は次のように話す。カギを握るのは「抗酸化力」だ。

「酸化ストレスをコントロールするには“抗酸化力”が重要です。これはわたしたちの体が本来持っている抗酸化力と食事由来の抗酸化物質である、たとえばビタミンCやさまざまなフラボノイド、栄養成分、機能性成分などがこの抗酸化力にかかわっています」

実際、酸化ストレスがヒトの体にどのような悪影響をもたらすのか。上西教授が続ける。

「わかりやすくひと言でいうならば、体がサビると考えていただければいいでしょう。(酸化によって)細胞の構成パーツである脂質やタンパク質、DNAが傷つけられるということです。また、どの部分が傷つけられるかによって、たとえばエネルギー不足になったり、疲れやすくなる、あるいは免疫が低下するといったように、人体にさまざまな影響が出てくるということです。そして最終的には生活習慣病やがんのリスクが高くなるのです」

大気中には約20%の酸素が含まれているが、酸素を生命活動に利用している生物は、酸素が外部からの刺激により「活性酸素」に変わる。活性酸素は反応性に高く、たとえば免疫機能を持つなど、よい面がある一方、その過剰な産生が細胞を傷つけてがんや心血管疾患などの生活習慣病の要因になるとしている。