コンディショニングによる食トレを実際に取り入れているアスリートチームが東洋大学の陸上競技部だ。同部長距離部門の監督を務める酒井俊幸さんに聞いた。

「私は実業団時代に食事の見直しを通じて食事の重要性を実感しました。振り返れば学生時代は思うようにパフォーマンスを発揮できなかった。当時は貧血に悩んでいたりして食事がなかなか充実したものではなかったのではないかということでした」と振り返る。

その上で「実業団時代は練習量も増えパフォーマンスも上がりました。そこで選手たちには食育を通した身体づくりとコンディショニングの調整をしてもらいたいと考えて女子栄養大学の上西一弘先生に相談し、食事の指導にあたってもらっているのです」と酒井さんは続ける。

酒井さんは2009年(平21)に32歳で東洋大学陸上競技部に就任。その翌年には箱根駅伝で、出場大学中の最年少監督として優勝を飾った。これまで箱根駅伝では優勝3回、準優勝5回など優れた成績を収めてきた。11年に出雲駅伝初優勝、15年に全日本大学駅伝でも優勝。経験を生かしたチーム作りや選手の育成をはかり、数多くの名ランナーを輩出してきた。「怯まず前へ」(ポプラ社)の著者でもある。

その酒井さんが伝えているのが上西教授のいう“身体をサビから守る”コンディショニングだ。「食トレは多くのプロアスリートが取り入れています。東洋大学の寮では選手たちに提供する食事に役立てているのです」と酒井さんは話す。