輝かしい実績をもつ東洋大学陸上部長距離部門に学ぶ食事術。同部門の酒井俊幸監督は「大会前は酸化ストレスが高まって風邪をひくなど感染症にかかるリスクも高い。そのため日々の食事がすごく大事です」とメンタル状態と食事の関係について話す。

食事指導にあたる女子栄養大学の上西一弘教授はこう話す。

「長距離選手はいいエンジンを積み車体は軽くギリギリのエネルギーで走るいわばF1カー。汗をかけばミネラル分が失われ溶血が起きれば貧血にもなる。食べたものがきちんと効果としてあらわれるとモチベーションにつながります。それは誰でも同じで高齢者にも取り入れてほしい。体脂肪計を活用すれば一般の人にもできること。数字はうそをつきません」

注目した食品のひとつが「キウイ」。選手20人を対象にキウイを1日2個摂取させ心身の変化を調べたところ身体の抗酸化力が上昇し酸化ストレスとのバランスが良くなった。

心理面では、キウイを摂取しないグループに比べて「怒り」「落ち込み」などネガティブな気分は増加せず「活気」などのポジティブな気分は維持されたままだった。上西教授はこうアドバイスする。

「キウイフルーツは抗酸化力を高め酸化ストレスが下がる、精神的なストレスを和らげる可能性があるコンディショニングフードだということがわかりました。コロナ禍で将来的な健康リスクを低減するにはこうした心身の調子をととのえる食品を意識して摂取してほしいですね」(おわり)

◆次回からは「正しく知ろう肺がん」を連載します。担当は医学ジャーナリスト松井宏夫さんです。