肺がんの検査の基本は、「胸部エックス線検査」「胸部CT検査」「気管支鏡検査」で診断をつけます。それらの検査で確定的な結果が出ない。でも、どうしても肺がんの疑いが強い場合は、「胸腔(きょうくう)鏡検査」を行うことになります。この胸腔鏡検査は最終検査になりますが、実は検査だけということではなく、治療含みの検査なのです。

胸腔鏡検査は全身麻酔をして行います。これは、胸部のわきの部分にごく小さな孔を3カ所程度あけます。その1つから胸腔鏡という胸の中を見るカメラを入れてモニターで肺の中を見ます。残り2つの穴からは、肺の手術器具を挿入します。

そして、肺がんが強く疑われる部分を切除します。この段階ではすべてを切除する必要はありません。切除した細胞をすぐに病理医にまわし、がんの有無を迅速に検査します。30分くらいで結果がでます。ここで「肺がん」と診断が確定すると、そのまま引き続いてがんの手術を行います。

3センチ程度のがんであれば、気管支鏡検査でほぼ100%診断はつきますが、1センチ程度のものはどうしてもとれる細胞が少ないのです。肺がんの疑いが強いのに診断がつかずに様子を見ることになると、患者さんは診断がつくまでずっと不安な日々を過ごさねばなりません。そのような事態を避けるために行われるのが、胸腔鏡検査なのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)