肺がんの主な手術方法として「胸腔(きょうくう)鏡手術」「開胸手術」があり、前回までそれらを紹介しました。加えて、もう1つ。今日的手術として2018年4月から保険適用になったのが、「ロボット支援下手術(ロボット手術)」。保険適応として行えるのは、「肺葉切除、または一葉を超えるもの」と縮小手術の「区域切除」です。

ロボット手術で脇につく傷は胸腔鏡手術と同じ。脇を4カ所、2~3センチ程度の小ささで切開します。そこからカメラや手術器具のロボットアームを挿入。そして、手術をする医師は手術室の隅にあるコンソールという飛行機のコックピットのようなものの中に入り、患者さんの胸の中を3D画像で見ながら遠隔操作で手術をします。

ロボットの手は非常に微細な動きをしますが、それを操作するのが術者。ロボットハンドの先端が人間の手以上に自由自在に動き、狭いところであればなおのこと操作はやりやすい。

ロボットの手は胸腔鏡の器具より急角度で曲がったり、非常に滑らかな動きをしたりするので、より細かい作業ができます。しかも、視覚が3Dなので、実際に胸の中に入って手術対象を見ながら手術をするような感じでできます。ただ、ロボットアームからは臓器に触れていてもその感触がありません。ここがロボット手術の現時点での短所です。

十分に理解したうえで患者さんが興味があれば、主治医に相談すると良いでしょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)