肺がんの中の小細胞がんは、がんの広がり度合いによって「限局型」と「進展型」に分けられています。限局型の治療は「化学療法」と「放射線治療」で対応します。

では、進展型の対応は--。

進展型は放射線の治療ができないほど進行しているので、全身のがん細胞にダメージを与える治療の「細胞障害型抗がん薬」を行います。限局型でも使っている「シスプラチン」、あるいは「カルボプラチン」と「エトポシド」が多く使われています。

これに「免疫チェックポイント阻害薬」を加えた3剤で行う治療が2019年から世界的な標準治療になりました。それまでは、従来の抗がん剤だけで治療するしかなかったのです。

抗がん剤の組み合わせは「シスプラチン」と「エトポシド」のほかに、これまでは「シスプラチン」と「イリノテカン」も使われてきました。イリノテカンは日本で最もエビデンスのある薬でした。このほか、「カルボプラチン」と「エトポシド」。高齢者にはシスプラチンは副作用が強すぎるということもあって、その時は「カルボプラチン」が選択されます。

この抗がん剤のみの治療が20年以上も続き、他に効果のある薬剤がありませんでした。免疫チェックポイント阻害薬が小細胞がんに適用が通り、今は何とか新しい治療法が誕生したところです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)