肺がんの小細胞がんが進行した「進展型」の今日の治療は、前回に紹介した通り、抗がん剤2剤と免疫チェックポイント阻害薬1剤の合計3剤での点滴投与治療です。3週を1コースとして4コース行います。

2019年から免疫チェックポイント阻害薬がプラスされたことが大きな進化。4コースを3剤で治療を行って、ある程度効果が得られた患者さんに対しては、「その状態を維持してほしい」と願いながら私たちは治療をしています。

そこで、4コース後も、免疫チェックポイント阻害薬だけは、3週あるいは4週に1回、点滴投与を続けられることに-。維持療法という形です。

実際に「患者さんたちの生命が延びている」ことを実感しています。これまでは化学療法が終了してしばらくすると、すぐに再発していました。それが免疫チェックポイント阻害薬だけを使い続けていると、がんを抑えている状態がそのまま続くことがあります。

「それは治っているのでは…」と思われるかもしれません。小細胞がんは悪性度が高いので、治ったとまでは言えません。この治療を受けている患者さんは、まだ治療を始めてあまり時間がたっていません。

それでも、私の患者さんには、免疫チェックポイント阻害薬だけの維持療法になって、半年以上再発していない人がいます。「あと1、2カ月で再発すると思われます」と言っていたはずの患者さんが、今は「維持できています」に-。このまま行くと、「5年たっても再発しない」という患者さんが出てくる可能性があります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)