肺がんは15%を占める「小細胞がん」と、85%を占める「非小細胞がん(腺がん、扁平(へんぺい)上皮がん、大細胞がん)」の2つに大きく分けられます。小細胞がんの薬物治療はすでにお話し済みですので、今回は非小細胞がんの薬物療法について-。

非小細胞がんの薬物治療は、ステージに関係なく、どのステージでも使う可能性があります。ステージ1、2は手術が可能であれば手術をしますが、その後の再発を防ぐために抗がん剤治療を加えることが多い。ステージ3以上は抗がん剤治療を加えるのが基本。手術を行うにしても、放射線を行うにしても抗がん剤治療が必要です。ステージ4はがんが全身に転移している可能性がありますので、基本は薬物療法です。

このように非小細胞肺がんでは薬物治療はステージ1から入りますが、他のがんであれば早期のステージであれば、抗がん剤は必要ナシということも多い。肺がんは再発率が高いがんだということなのです。つまり、薬物治療はほぼ最初から必要と考えるべきです。

そして、非小細胞がんに使う薬は、まずは抗がん剤。正式には「細胞障害型抗がん薬」で、細胞にダメージを与えて壊す抗がん剤です。2薬目は特定の遺伝子変異のあるがん細胞に対し、その遺伝子変異を目標に攻撃する「分子標的薬」。3薬目は免疫を活性化させて治療効果をもたらす「免疫チェックポイント阻害薬」。合計3種類の薬が使われています。次回は、分子標的薬にスポットをあてます。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)