肺がんの85%を占める非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)のステージ4で、「分子標的薬」の治療対象にならない患者さんは、基本的に全員が「免疫チェックポイント阻害薬」が適用になります。

免疫チェックポイント阻害薬とは-。免疫細胞は免疫が正常な状態を保つようにブレーキボタンがついています。がん細胞はこのブレーキボタンを押して免疫力を下げ、免疫に殺されないようにして増殖して生きているのです。免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞がブレーキボタンを押す手を抑えてボタンを押せないように作用します。

免疫チェックポイント阻害薬で非小細胞がんに使われているのは、「オプジーボ」など数種類。実際オプジーボで数年間病気が安定している患者さんも存在します。現在の使い方としては、免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤を合わせて使うのが基本。抗がん剤で一緒に使われるのは、小細胞がんで紹介した「シスプラチン」「エトポシド」「カルボプラチン」「イリノテカン」です。これらの抗がん剤2剤と免疫チェックポイント阻害薬とを組み合わせた3剤での点滴投与となります。

免疫チェックポイント阻害薬と抗がん剤が併用されるようになったのは、免疫治療は効果が出るまでに時間がかかることが多いため、それまでは抗がん剤の効果に期待しよう、という発想です。がんの進行が速いために、治療が追い付かない患者さんを極力減らすために、2剤を併用するように。ただ、がんがゆっくりとしか進展しない患者さんに対しては、免疫チェックポイント阻害薬だけで良い成績が出ます。がんの性質をチェックして判断すべきと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)