生活習慣病の4つのマーカーは<1>体重<2>血圧<3>血糖<4>脂質。今回は4つ目の脂質を取り上げます。

脂肪はエネルギーとして重要。だから、人間の身体は飢餓に備えて脂肪をため込んだり、うまく活用するために、脂質を代謝したりするシステムを持つようになったのです。

ところが、食生活が豊かになると動物性脂肪を過剰に摂取するように--。それに、運動不足などが加わって、体内に余剰の脂肪がどんどんため込まれるようになりました。

結果、肥満やメタボ(メタボリック症候群)、そして、脂質異常症になる人が増えたのです。脂質異常症では、血液中に処理できなくなったコレステロールや中性脂肪が増えるようになるので、動脈硬化が加速度的に進行するようになります。コレステロールを気にする方は多いと思います。やはり、コレステロールや脂肪の多い食事は控えめにすべきです。

中性脂肪も注目されています。悪玉として知られているLDLコレステロールが高い状態で、さらに中性脂肪も高い場合は、LDLコレステロールの大きさが小さくなってしまうことが分かっています。小さくなると血管の中に入りやすくなります。つまり、中性脂肪によって、より動脈硬化が促進してしまうということに--。

その中性脂肪は、お酒や揚げ物、ご飯やパンなどの炭水化物を摂取することで増えるので、食事の影響が大です。ここでも生活習慣の改善が何より重要になるのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆横山啓太郎(よこやま・けいたろう)1958年(昭33)生まれ。63歳。慈恵医大晴海トリトンクリニック所長。東京慈恵会医科大学卒。日本腎臓学会、日本透析学会でガイドライン策定の中心的な役割を演じ、薬物療法の効果と限界を痛感し、2016年(平28)に日本の大学病院で初めての行動変容外来設立。新しい試みを「健康をマネジメントする」などの著書で発信し、薬のみに頼らない健康メソッドを科学的に体系化している。21年から東京慈恵会医科大学大学院医学研究科健康科学教授も兼務。