良質な睡眠をとるために、前回は「就寝90分前くらいに入浴する」ことをアドバイスしました。「それでも快眠に結び付かない」という方のために、「4-7-8呼吸法」を紹介します。

これは、アメリカの医学博士のアンドリュー・ワイズ氏が唱えたもので、効果的と評価されています。その呼吸法は次の順番で行います。

<1>口から完全に息を吐き出す

<2>4秒間、鼻から息を吸い込む

<3>7秒間、息を止める

<4>8秒間かけて、ゆっくり口から息を吐き出す

呼吸法の名称にあるように4秒、7秒、8秒が重要で、これで自律神経を調節することで、快眠を促すことができるのです。

この方法は眠る前に行うだけではなく、仕事中に気持ちを落ちつかせたい時やさまざまなストレス対策に有効です。

そして、もうひとつ良質な睡眠に有効な方法があります。1日に起こった出来事で感謝すべきことを思い出すこと。「おいしくご飯が食べられた」「天気が良くて気分爽快だった」「同僚に助けられた」など、簡単なことで構わないので3つ思い出してみましょう。感謝は気持ちを温かくし、脳に良い影響を与え、幸せな睡眠にいざなってくれます。

最後に、頑張り過ぎている読者の皆さんに-。人生100年時代はできるだけポジティブに考え、最後まで人生を楽しめるように自分で体をいたわっていってください。そして、自分の身体や健康状態に目を向けることを楽しみながら、自分に合った習慣を見つけ、それをできるだけ長く続けていってほしいと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)(おわり)

◆次回から「鎌田式人生を愉しむ極意」を連載します。担当は医師で作家の鎌田實氏が務めます。