■腹式呼吸

一酸化窒素(NO)を増やす方法として、前回はグーパー体操をご紹介しましたが、自律神経を刺激することも重要です。自律神経の中の副交感神経が刺激されると、血管が拡張され、一酸化窒素が増加するのです。

まず腹式呼吸を覚えましょう。鎌田が実践している方法をご紹介します。3秒間、鼻で息を吸います。できるだけおなかを膨らませ、横隔膜を下げます。今度は7秒かけて、ゆっくりと口から息を吐き出していきます。おなかをへこませ、おへそが背中にくっつくぐらい、横隔膜を上げていきます。

横隔膜の周りには、副交感神経が密集しています。この横隔膜を上手に動かすことで、副交感神経が刺激され、血圧が下がり、不整脈を防ぎながら、血管を拡張してくれるのです。

■片鼻呼吸

もう1つ、片鼻呼吸を覚えると、さらに一酸化窒素が広がります。

まず、右手の人さし指と中指で左の小鼻をふさぎ、右の鼻だけで3秒間息を吸い込みます。次に両鼻を閉鎖して3秒間呼吸を止めます。今度は、人さし指と中指を離し、親指で右の小鼻だけをふさぎ、左の鼻だけで7秒間息を吐き出します。吐き出し終わったら、そのまま3秒かけて息を吸い、両鼻をふさいで3秒間息を止めます。今度は右の鼻だけで7秒間息を吐き出す。この繰り返しです。

この片鼻呼吸も腹式呼吸の1つですが、自律神経の交感神経と副交感神経の両方を刺激すると同時に、鼻の毛細血管を通して一酸化窒素を体中に送りこみ、血管の拡張を起こすのです。