■「老いるショック」の始まり

2021年6月上旬、4日間、入院することになりました。数年前からたびたび起こっていた「心房細動」の治療で、カテーテル・アブレーション術(電気的焼灼=しょうしゃく=術)を受けるためです。鼠径(そけい)部の太い血管からカテーテルを入れて、心臓までさかのぼり、心房細動を起こしている心臓の筋肉を100カ所以上、電気で焼く治療法です。

■心室細動は致死的

最も怖い不整脈は、「心室細動」というもので、かなりの高い確率で突然死につながります。ひとたび心室細動が起こったら、とにかく1秒でも早く救命処置をしなければなりません。

公共施設などにAED(自動体外式除細動器)が設置されるようになりました。2019年のデータでは、一般の人がAEDを使用した例は約1300、その半数近く人の命が救われています。

■心房細動で老いの仲間入り

一方、心房細動の方は、直ちに命を脅かすことはほとんどありません。ただし、心房細動によって心臓の機能が低下し、心不全となる場合もあります。高血圧と高血糖も心不全の予備軍と言われています。

2010年のデータでは、日本の心房細動の患者は約80万人とされていますが、今は100万人近くいるのではないかと推測されています。一生の間に3人に1人が心房細動を経験するというデータもあります。

高齢になるほど増加する心房細動は、「老い」と関係が深いことは間違いありません。そして、ぼくも「老い」の仲間入りをしたことになるのです。