■フランクリン効果

これまでたくさんの人に助けられて生きてきました。子どものころは貧乏だったので、近所のおばさんたちによくご飯を食べさせてもらいました。

医師になってからも、地域の人から家に招かれて夕飯をごちそうになりました。39歳で院長になってからもそうです。

ぼくのひらめきや大まかなプランを、病院内外の人たちが具体的なプランに変え実現してくれました。ぼくだけでは頼りないと思ってか、多くの人がおもしろがって手を貸してくれました。

■甘え上手

アメリカの政治家で100ドル札の顔、ベンジャミン・フランクリンは、仲の良くない議員と仲良くなるため、相手に頼みごとをしました。すると、なぜか相手がフランクリンに好意を持つようになったのです。

人は、相手を好ましく思っていなくても、相手の頼みごとを聞いているうちに、「相手に親切にしているのは、相手に好意を持っているからだ」と脳がつじつまを合わせるのです。これがフランクリン効果です。

■誰かのために働く

もう1つ大切なことをフランクリンは言っています。

「私が自分だけのために働いている時には、自分だけしか私のために働かなかった。しかし、私が人のために働くようになってからは、人も私のために働いてくれたのだ」

甘え上手と、誰かの役に立つ。この2つのバランスが大事なのだと思います。

今回の連載は「鎌田式人生を愉(たの)しむ極意」として、どうすれば人生をより楽しめるかを考えてみました。長い間ご愛読いただき感謝です!(おわり)

◆次回からは「知って得するプチ医学」を連載します。スポーツドクター大須賀友晃氏が担当します。