変形性膝関節症の保存療法

変形性膝関節症の治療の目的は「痛みなどの症状改善」と「関節変形の進行予防」の2つに大きく分けられ、この目的を達成するための治療法には保存療法と手術療法があり、大半は保存療法が行われています。

保存療法は、運動療法と薬物療法を軸として、装具を使用したり物理療法(電気治療など)を行ったり、患者さんの状態に合わせて総合的に実施します。

私の保存療法の基本的な考え方は、生活の維持や改善のために、活動性を上げることを第一に考えています。そのために運動療法を中心に行い、筋肉・関節を自分で動かす! そして動かすために薬を使います。

運動療法を行うと→力が入るようになり→動けるようになり→筋肉がつき→関節が安定するために軟骨が保護され→痛みが軽減し→さらに運動できるようになる、という好循環が生まれます。

このように運動療法は、関節周囲の筋力増強により関節の安定化を促進します。また、関節への適度な力学的負荷を与えることで、関節軟骨などを保護したり、炎症を抑制したりするなど、関節内の恒常性を回復させる機能も併せ持つと考えられています。

一方、痛いと→力が入らなくなり→動けなくなり→安静にするために筋力が弱り→関節の不安定性が生じ軟骨がすり減り→さらに痛む、というような悪循環が生じます。変形性関節症の治療ではこの悪循環を断ち切ることが重要であり、ここに痛み止めを使用して運動療法を行うことが大切です。