スポーツの秋には、野球やサッカー、テニスなどに久しぶりに取り組む人もいるだろう。学生時代に夢中になっていたが社会人になってご無沙汰。そんなスポーツに取り組んで膝に激痛が走ることがある。

「若い頃のスポーツ活動で、膝関節の靱帯(じんたい)や半月板を痛めた人によく見られるケースです。当時、十分な治療を受けずに、半ば放置し続けた結果、久しぶりのスポーツで膝に痛みを自覚するのです」と、東邦大学医療センター大森病院人工関節治療センターの中村卓司センター長。さまざまな膝痛の診断・治療を行う。

たとえば、20代で左膝の靱帯を痛めていたとしよう。10~20年以上の歳月が流れ、運動不足もあって脚の筋肉量が減り、膝の動きは以前より不安定になっている。この状態で、久しぶりのスポーツや、階段を駆け降りるような動作をした際に、膝に痛みが及ぶことがあるそうだ。

「運動選手は、膝の靱帯を痛めても発達した筋肉がサポーターの役割を果たし、膝の動きが安定化して膝の痛みは軽減されます。引退して筋肉量が減ると、サポーターとしての機能が失われて膝が不安定になり、ちょっとしたきっかけで膝痛が悪化することがあるのです」

そうならないためには、膝の調子が悪いときには早めに医療機関を受診し、状態を把握することが先決。

「大きな手術に至らないように、常日頃のメンテナンスが膝を守るために重要です。若い頃に脚のケガを経験された方は特に注意しましょう」