食欲の秋はつい食べ過ぎて体重が増えやすい。久しぶりに着た秋物のスーツのウエストが閉まらず、体重計に乗れば約5キロも増加。このとき、膝にはとんでもない負荷がかかっている。

「膝にかかる負荷は体重の約3倍になります。体重が5キロ増えると、膝には15キロの負荷がかかることになるため、脚の筋肉が減少していれば、変形性膝関節症の誘因・悪化につながります」と、東邦大学医療センター大森病院人工関節治療センターの中村卓司センター長は指摘する。

膝周辺の筋力は、意識して鍛えていないと50代から減少し始め、80代ではピーク時の6割もの筋肉が失われる。50歳を超えると毎年1%ずつ減り、減少スピードが加速していくという。この状態で、体重が増えると膝への負荷はさらに大きくなる。

「増えた体重は落とすように心掛けることが肝心です。膝痛がまだ起こっていない方は、膝関節周辺の筋肉を鍛えるために階段の昇降がお勧めです」

駅の階段や、自宅マンションやオフィスビルの階段を活用。無理しないように、1階分の昇降から始めて、徐々に階数を上げていく。

「階段を下りるときに膝に違和感があったならば、変形性関節症の可能性があります。違和感がひどい場合は、早めに医療機関へ受診するようにしましょう」

すでに膝が痛い人は、階段の昇降は無理をせず、イスに座って片方ずつ太ももを上げるなど、太ももの筋肉を鍛えるとよいそうだ。いずれにしても、膝を守るには、減量と筋肉強化を意識しましょう。