乳がん検査といえば、自治体が40歳以上の女性に行っているがん検診で使われている「マンモグラフィー検査」が有名。ただ、検査時に2枚の透明な板で乳房を挟み、薄く延ばしてエックス線撮影をするため「痛い!」という悪評が大きいのです。そこで、痛みなく受けられ、乳がんの早期発見ができるとして登場してきた新しい検査が、<1>「乳房専用PET(陽電子放出断層撮影装置)検査」、<2>「リングエコー」、<3>「MRI検査」です。

まず<1>の「乳房専用PET検査」。がん細胞はブドウ糖をより多く必要とします。そのブドウ糖に微量の放射線を放出する物質をくっつけた薬剤を体内に注射。そして、PETで撮影します。受診者は、撮影時に検査機器にうつぶせになり、中央に穴が開いているので、そこに乳房を入れて検査を受けます。がん細胞の有無や場所、進行度合いなどがわかります。

<2>の「リングエコー」もベッド上に穴が1つ開いていて、受診者はうつぶせになってその穴に乳房を入れます。穴の周辺から超音波が照射され、乳房の3D画像が撮影できます。

<3>の「MRI(ドゥイブス)検査」は、前の2つの検査と同様にうつぶせになって穴に乳房を入れ、磁場を利用した特殊なMRI機器で撮影。この検査では造影剤を使わないのが大きな前進です。

新しい3つの検査は、どれも穴の開いた台にうつぶせになってその穴に乳房を入れて寝ていれば検査は終了します。だから、マンモグラフィー検査のような痛みもなければ、医師に乳房を見られたり触られたりすることもなく検査は終了します。ただし、これらはまだ始まったばかりとあって、この医療機器を導入している施設が少なく、検診としての有効性の大規模なデータはまだありません。これからに期待してください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)