乳がんの手術には「乳房温存手術」と「乳房切除術」があります。その乳房を全摘する乳房切除術を受けた場合は、乳房のふくらみを再び作る乳房再建術を保険適応で受けることができます。

乳房再建術には、再建のタイミングと何を使って再建するかで2つの分け方があります。第1は「一次再建」と「二次再建」、第2は「自家組織による再建」と「インプラント(シリコンの入った人工乳房)を使った再建」という分け方です。まずは、第1の一次再建と二次再建について紹介します。

一次再建は、乳がんの手術と同時に乳房を再建することを言います。二次再建は、乳房を全摘した後、期間をあけて後から再建する方法です。

一次再建の場合は手術終了時に膨らみがある程度あるので、喪失感が少ないという大きなメリットがありますが、術後感染などのトラブルは少し多いと報告されています。また、患者さんによっては乳がんと医師から伝えられ、治療のことだけで頭がいっぱいになり、乳房再建まで考えがまとまらないという方も少なくありません。その場合は、まずはがんに対する治療を優先し、あとから乳房再建を考えることも可能です。再建は1年後でも5年後でも10年後でも、希望するときにいつでもできます。ただし、術後の抗がん薬の治療中は化膿(かのう)することもあるので再建術には適しません。

乳房再建の第2については次回に。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)