がんは早期発見が何より大事です。

家族として協力できるのは「乳がん検診に行った?」という声掛けです。「検診の通知が来ていたよ」と言って勧めるのが大事。通知が来ていても、無視している人もいるからです。

「なんで検診を受けないといけないの?私が乳がんになるはずがないわ」と思っている人も少なくありません。しかし、乳がんは9人に1人がかかってしまう時代なので、「私は乳がんにならない」と言っている場合ではありません。

やはり、自分で発見するとなると、乳がんも3センチ以上になっていることが多いのです。一方、乳がん検診で発見された乳がんは2センチ以下のものがほとんどなので、治る確率の高い1期の乳がんです。早期発見であれば治る確率が高いだけではなく、治療費も安く、治療期間も短くすむことが多く、いいことずくめです。

乳がんの早期発見の基本は、検診。家族では、親が受けていないと娘たちに「検診に行った?」などと言えません。家族で声かけあって検診を受けましょう。

日本の乳がん検診の受診率は21年度が45%程度、米国やイギリスなど欧米諸国は70~80%程度で、乳がん死亡率は低下してきています。声をかけ合うと、欧米並みに検診受診率がアップするはずです。そうすることで、乳がんの死亡率は下がり、明るい未来が確実に見えてきます。(おわり)(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆次回から「85歳の壁 突破への極意」を連載します。担当は医師で作家の鎌田實氏が務めます。