<加齢により筋肉量は減少>

50年近く高齢者の健康づくり運動に携わってきたぼくでも手ごわいのが「90歳の壁」。ただ長生きするだけなら、多くの人が90歳くらいまでは生きられる時代になりましたが、90歳を越えると介護保険のお世話になる人が50%を超え、認知症は男性が約4割、女性が約7割に。

そんな時代だからこそ、ピンピン元気に90歳の壁を超え、1人でレストランへ行ったり温泉に出かけられる健康法をぼくは考えてきました。

サルコペニアという言葉をご存じでしょうか。「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味で、加齢などによって筋肉量が減少し、身体機能が低下する病態のこと。ある統計では65歳以上の高齢者の6~12%がサルコペニアであるとされています。さらに75歳以上になると急激に増え、80歳を過ぎると60%にも上るといわれています。歩くスピードが遅くなったら要注意。

<歩くスピードが速くなった>

サルコペニアはフレイル(虚弱)や要介護状態につながるため、その予防のためのトレーニングが不可欠。そこでぼくが考案したのが鎌田式筋トレです。ぼく自身も68歳のときから、毎日、鎌田式筋トレを実践していますが、それからは筋肉量が増えて、歩くスピードも速くなりました。また趣味のスキーの腕前も一段上がったように思います。(医師で作家・鎌田實)

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧