永久歯は28本あります。残存歯数が20本以上あるかどうかでさまざまな障害が出てくるということが、いろいろなデータからわかってきました。

<歯が少ないと閉じこもりになりやすい>

65歳以上で、歯が20本以上ある人に比べ、19本以下の人は、6年後に閉じこもりになる確率が1.4倍高いと言うデータがあります。

歯が19本以下になると、肉や硬いものが食べにくくなり、筋力や体重が減少して、フレイル(虚弱)が起きてしまいます。フレイルには、筋肉の虚弱だけでなく、口の虚弱、口腔(こうくう)フレイルがあります。

<社会的虚弱>

歯が少なくなり、口腔虚弱が起きると、しゃべるのも面倒になり、人と会いたくなくなり、人と会わないことにより、生活習慣への悪影響が出てきます。

残存歯数が19本以下になると、認知症リスクが1・9倍。その他、転倒リスクや、骨粗しょう症リスクも上がると言われています。

<口腔ケア>

高齢になったら、電気歯ブラシがおすすめです。まんべんなく上手に歯を磨くことができます。歯の間に何かが詰まった時には、歯間ブラシも使いましょう。歯間ブラシで歯の隙間をきれいにした後、電動歯ブラシで全体を磨いておけば、完璧です。

食後に歯磨きをする時間が無い時には、うがいをするだけでも効果があります。口腔内をきれいに保つことは、認知症予防に直接つながるのです。

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧