<口は万病の元>

歯をきれいにケアすることで、歯周病が予防されます。

歯茎が弱くなると、ここにある毛細血管に歯周病菌が入り込んでしまいます。歯周病になると、心筋梗塞のリスクが2・8倍。脳卒中の発生率が20%増加し、糖尿病も悪化すると言われています。また、1年間に4万4000人近くが亡くなると言われる、誤嚥(ごえん)性肺炎の引き金にもなります。

<認知症と高血圧>

高血圧があると、認知症リスクが1・6倍高くなると言われています。高齢になっても、血圧を収縮期血圧(上の血圧)140以下、拡張期血圧(下の血圧)90以下になるべく保つことが大事です。

塩分はできるだけ1日8グラム以下におさめましょう。そして、野菜をとることです。野菜に含まれるカリウムが、体内のナトリウムと交換してくれます。このナトリウムが、血圧を上げる元凶なのです。野菜を食べると、減塩と同じ効果が期待できます。

<メタボに注意>

スイスのジュネーブ大学の論文によると、メタボリック症候群があると、認知症リスクが上がります。メタボになると、サイトカインという炎症性物質が出やすくなり、脳細胞で慢性炎症が起こり、慢性炎症が認知症の引き金になると推測されています。

認知症リスクを減らすためには、口腔(こうくう)ケアを行い、できる限り血圧を安定化させ、メタボを改善することが大事なのです。

医師で作家の鎌田實氏「85歳の壁 突破への極意」/連載一覧