私の親しい友人のT医師は、パーキンソン病を患ってしまいました。歩くのもやっとで臨床医の命と言っても良い言葉が明瞭にしゃべれなくなってしまいました。私たち友人間はメールなどで意思の疎通は出来ますが、患者さんとのやりとりはそうはいきません。

結局、大学病院の准教授でしたが病気休養せざるを得ませんでした。後述する人工透析の患者さんのQOL向上の臨床結果が出ていたので、もしやと思いT医師に臨床試験を勧めたところ、快諾してくれたので、早速エクソソーム(幹細胞培養上清液)治療を開始しました。1週間に一度の点滴による静脈注入とプロトコール(手順)を決めたのですが、2回目で効果が出始めました。

外来受付に現れたT医師は、以前に比べ足取りがしっかりし、言葉の明瞭さもはっきりとした改善が見られ、受付担当もびっくりしていました。ところがパーキンソン病の検査入院のため、エクソソーム治療が2週間空いたときは残念ながら言葉の明瞭さは元に戻りました。エクソソーム治療を再開したところ、改めて改善されました。これから3カ月12回の治療でどこまで回復するか楽しみです。

パーキンソン病は500人に1人ぐらい発病し、多くは高齢者です。認知症とパーキンソン病は高齢者の多い日本において深刻な問題で、若年でも発症することがあります。多くのボランティア団体があり、パーキンソン病患者のサポートを行っています。良い臨床試験の結果を得て、またエクソソームの大量生産のめどをつけ、多くのパーキンソン病患者のQOL向上に貢献したいと考えています。

◆都筑俊寛(つづく・としひろ)コレージュクリニック ザ・ペニンシュラ東京院長、フランス国立神経学研究所客員教授、医学博士、日本耳鼻咽喉科認定専門医。01年よりいびき、鼻アレルギーに対するレーザー日帰り治療に特化を始め、レーザー日帰りいびき手術の総件数は2万4000例を超える。現在はエクソソームを活用した老人性難聴の治療や難病の予防、QOL改善にも取り組んでいる。