冬場は血圧が乱高下しやすい。血管が硬く変性した動脈硬化になっているとなおさらだ。しかも、動脈硬化の状態で血圧が急上昇すると、血栓が生じやすく心筋梗塞などを引き起こす。

「かつては動脈硬化になった血管は、治らないといわれていました。しかし、近年、動脈硬化の進行を止めると、血栓が生じにくくなり、血管の柔軟性が一部戻ることが明らかにされたのです」とは、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。高血圧や心臓病の患者を数多く救っている。

「動脈硬化の原因を改善すれば、心筋梗塞を起こした人は再発しにくい。動脈硬化が進んだ人も、血管が柔らかくなるのです」

動脈硬化の原因は、肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病や、内臓脂肪に加えて生活習慣病が2つ以上重なるメタボリック症候群は、動脈硬化促進の元凶だ。それらを改善すれば、動脈硬化の進行を止め、動脈硬化が進んだ人も少し後退して、血管をよみがえらせることが可能になるという。だが、生活習慣病やメタボを改善するために、食生活の見直しを行うのはたいへんだ。そもそも簡単に行えるならば、生活習慣病やメタボにはなっていないだろう。

「放置しているのが最もよくありません。健康診断結果に異常値があったときには、医療機関を受診しましょう。自力で見直せないときには、薬も活用して上手にコントロールしてください。その結果、病気を予防し、血管を若返らせることも可能なのです」と原田副院長はアドバイスする。