高血圧は、心筋梗塞などの心臓病や、脳卒中、慢性腎臓病など、さまざまな病気と関係が深い。

「血管が変性した動脈硬化が進行すると、血圧変動は起こりやすく、病気の後押しをします。動脈硬化のサインが、高血圧などの生活習慣病なのです」とは、東京都健康長寿医療センターの原田和昌副院長。高血圧患者を数多く診ている。

「診察室の測定で収縮期血圧140以上・拡張期血圧90以上(単位mmHg)で高血圧と診断されますが、治療を受けずに放置している人は少なくありません。まずはご自身の血圧を把握しましょう」

血圧計を使うと脈も測れる。朝晩の1日2回測定して記録しておくと、不整脈も知ることができる。就寝中にも自動測定してくれるウェアラブルデバイスならば、不整脈も見逃さない。異変が生じたら循環器内科へ。

「生活習慣病の改善の基本は食生活の見直しです。食事内容や運動習慣の継続は欠かせません。それでも改善が難しいときには、降圧薬を活用しましょう」

降圧薬にはさまざまな種類が登場し、作用機序の異なる薬を組み合わせたものでは、1日1回1錠だけの服用で済むこともある。また、動脈硬化を改善する新たな薬など、多様な新薬の登場で、メタボリック症候群は改善しやすくなった。

「重篤な病気を引き起こす前に血圧手帳などで自覚症状を把握し、健康管理に役立てていただきたいと思います。特に冬場は、屋内外の温度差などで血圧が乱高下しやすいので注意してください。セルフケアで健康を維持しましょう」と原田副院長は話す。