4月に施行される「21世紀における国民健康づくり運動『健康日本21(第3次)』」では、1日平均200グラムの果物摂取量が目標として掲げられた。

果物を1日200グラム食べると、死亡リスクや心筋梗塞などで亡くなるリスクが下がるといった疫学研究報告があるからだ。いちご1パックでおよそ250~300グラム。目標値をいちごで達成するならば、毎日かなりの量を食べなければならない。

「果物に含まれる果糖は、吸収されてダイレクトに血液中を流れ“糖化”という現象も引き起こしやすいので注意しましょう」と、栗原クリニック東京・日本橋(東京都中央区)の栗原毅院長。「1週間で勝手に痩せていく体になるすごい方法」(日本文芸社)などの著者で、メタボリック症候群に造詣が深く、以前から果物の食べ過ぎに警鐘を鳴らしていた。

「糖化は糖質とタンパク質が体温で結合してコゲのような状態になります。その結果、終末糖化産物(AGE)が作られることで、細胞や組織を変性させ、動脈硬化や老化など促進させてしまうのです。果物の食べすぎはよくありません」

タンパク質は体のいたるところに存在する。血管壁のタンパク質が糖化すると動脈硬化につながり、神経に糖化が及ぶと糖尿病の合併症の糖尿病神経障害など、さらには、認知症、骨粗しょう症、肌あれなどとの関係も指摘されている。

「ビタミンやミネラルを含む果物で、若返りを期待して食べ過ぎて、老化を促進させては元も子もありません。果物は食後に少しを心がけましょう」と栗原院長はアドバイスする。