「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」(出版文化社)や「慈恵大学病院の食べる『免疫力』」(世界文化社)の監修者のひとりで、東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士として患者の栄養管理に携わる赤石定典さんはこう話す。

「病院に入院している患者さんの場合では、たとえば手術でメスが入ったら、炎症反応が起きるのでそこに免疫が使われます。そこで風邪をひいたりするとさらに余計な免疫が必要になるので、元々の病気にはいいことはなにもありません。つまり、治りも遅くなるわけで、予後に大きな影響を及ぼすというわけです」(赤石さん)

風邪やインフルエンザは、気温が下がり空気が乾燥するとウイルスが活発になって流行する。鼻や口の中の温度が下がり、免疫細胞のはたらきが悪くなるからだ。また、食中毒やがんの発症などにもかかわってくるという。

「『免疫』とは、体内に侵入したウイルスや細菌に対して免疫をつかさどる細胞が『自己』とそれ以外の敵を見分けて、害のある侵入者を攻撃、自己を守るしくみのことです。そのしくみを効果的に利用する力を『免疫力』と呼ぶことが多いですが、免疫に使われる細胞は血液中の白血球の仲間で『免疫細胞』といい、それらは大きく2つの群に分けられます」(赤石さん)。

1つは誰もが生まれもっている“自然免疫”。病原体が体に侵入するとすぐにはたらく緊急部隊で、病原体を見つけるとそれを食べてくれる。

「自然免疫ではNKキラー細胞が侵入したウイルスや細菌を退治しますが、この病原体が抗原であり、それに対抗するものが抗体です」(赤石さん)。