東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士として患者の栄養管理に携わる赤石定典さん。「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」(出版文化社)や「慈恵大学病院の食べる『免疫力』」(世界文化社)の監修にも携わった。

「免疫細胞のもうひとつのグループは“獲得免疫”。病原体の特徴を調べ、じっくり準備して攻撃する部隊です」(赤石さん)

からだに抗体をもたない病原体に対し、体内のキラーT細胞という免疫細胞が攻撃を加える。その結果として産生されたのが「抗体」だ。

「もし同じ種類の抗原が再び体内に侵入してきたら、すでに記憶されている免疫が活性化されて、侵入してきた抗原を速やかに攻撃し追い払ってくれるわけです」(赤石さん)

たとえば、「はしか」や風疹に1度かかると、2度とかかることはなく身を守ってくれる。これが獲得免疫のしくみだ。では、こうした細胞はどこで生まれて活躍しているのか。

「免疫細胞は、骨の内側のスポンジ状の“骨髄”という組織と、心臓の上にある“胸腺”で作られています。血管やリンパ管を通って体内のいたるところを循環し、駆けつけてくれるというわけです」(赤石さん)

ふだん健康ならば、こうしたはたらきを意識することはない。しかし、さまざまな外的な要因によって免疫細胞のはたらきが脅かされると体調が崩れてしまうのだ。

「ストレスや加齢、生活習慣の乱れなどにより、その力を発揮できなくなってしまいます。いわゆる“規則正しい生活”は免疫力を落とさない、つまり免疫力を高めてくれるということになるのです」(赤石さん)。