免疫力を下げてしまう要因とは。東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんはこう指摘する。

「免疫力を高めてウイルスや細菌の感染から身を守るための生活習慣には、免疫を下げる“NG行動”に注意してほしいですね。まずは、暴飲暴食。つぎに過度なアルコール摂取、偏った食事、睡眠不足、疲労の蓄積、過度なストレス、喫煙、などがあてはまります」

加齢、妊婦、子どもなど不可抗力な要素も。免疫力を低下させるNG行動を見直し、改善することでも免疫力は高められる。

自律神経も免疫に作用する。自律神経には活動的な昼間に優位になる交感神経と、夜間、リラックスしたときに優位になる副交感神経がある。赤石さんによると、免疫細胞は交感神経が優位なときは殺菌作用のある好酸球や好中球が増える。副交感神経が優位になると抗体をつくったり感染した細胞を処理するT細胞やB細胞、ナチュラルキラー細胞が活発になる。どちらも大事な役割があり、緊張とリラックスのバランスが問題。

「たとえば交感神経が優位になった際に増える顆粒(かりゅう)球のうち、好中球は自然免疫として外敵を食べて排除する免疫細胞です。その際、活性酸素を活用していて、好中球が増えることで活性酸素も増える。すると活性酸素の影響により、健康な細胞が破壊され、リンパ球の動きも抑えられてしまいます」(赤石さん)

一方、リンパ球はその数が増え過ぎると免疫が過剰になりアレルギー症状を引き起こす場合があり、顆粒球の増加でリンパ球が減ってしまうため、よくない結果になるという。