免疫力のカギを握るのが「腸」だ。「腸」は、脳に次ぐ数の神経細胞が集まっていて、脳と連携しつつ、腸独自の判断で消化と吸収、そして排出をつかさどる「第2の脳」といわれる臓器だ。東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんはこう話す。

「動物の進化の過程で最初にできるのが腸といわれています。まず生きるために大切な臓器がつくられるというわけですね。神経細胞が多く集まるのが脳に次いで多いのが腸。その数は1億以上で脊髄や末梢(まっしょう)神経系よりも多い。また、腸は脳と約2000本の神経線維でつながって緊密に連携していて、そうしたことから“第2の脳”と呼ばれているのです」

というのも、腸には脳と違った独自の神経のネットワークがあるといわれ、その一方で脳と腸とは、自律神経系、内分泌系、免疫系のパイプでつながり、お互いに影響し合っていることから“腸脳相関”などともいわれる。つまり、腸は脳と密接な関係にあるのだ。

「たとえばストレスを感じると下痢をする、といった現象は脳が受けたストレスが腸に伝わるからで、腸と脳は密接な関係にあります。腸内には免疫細胞の7割が集まっているため、偏った食生活により腸内環境が悪化すると、免疫細胞のはたらきも低下するというわけです」(赤石さん)。

この腸内細菌、個人差があるものの約1000種類、100兆個から1000兆個もあるといわれている。そして、ヒトの小腸から大腸にかけて、その内部にはさまざまな細菌がびっしりとすみ着いている。