第6の栄養素と呼ばれる「食物繊維」がなぜ大切なのか。「慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ」(出版文化社)などの監修本がある、東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんはこう説明する。

「食物繊維は細い糸状の形だけではなく、ヘチマのスポンジのような穴のたくさんあいたものや、蜂の巣のような形のものもあります。食物繊維は、水に溶ける水溶性と水に溶けにくい不溶性の2種類があり、前者は水分を多く含み、ネバネバした食材に多く、果物や野菜に多いペクチン、海藻類のアルギン酸、大麦に含まれるベータグルカンなどがあります」(赤石さん)。

水に溶けにくい不溶性食物繊維は腸内の水分を吸収し膨張し、その刺激で腸のぜん動運動を活発にして便通を改善してくれる。水溶性食物繊維は、野菜やイモ類、ゴボウ、大麦などに、不溶性食物繊維は、キノコやソバ、大豆、トウモロコシなどに多く含まれており、いずれも腸内環境を整え、便通を良くしてくれる。

赤石さんは、こうアドバイスする。

「生活習慣病の予防には、食物繊維は1日に24グラム、1000キロカロリーのエネルギー摂取にあたり14グラムを取ることが理想とされます。これは野菜にすると1日あたり350グラムに相当しますが、実際は不足しがちで、成人男性では約5グラム、同じく女性では約3グラム足りません。腸内環境を良くして免疫力を保つためにも、成人男性は1日に21グラム以上、成人女性は1日に18グラム以上、食物繊維を取ることを目標にしてほしいですね」