東京慈恵会医科大学付属病院栄養部の管理栄養士、赤石定典さんはこう話す。

「かつて『かっけ』の治療に役立てられた大麦には、ベータグルカンという栄養素が含まれていて、それが現代では生活習慣病に効果があるとして注目されているのです。ベータグルカンはナチュラルキラー細胞を活性化し免疫力を高めていることがわかってきました」(赤石さん)

ベータグルカンは、水溶性食物繊維なので食後の血糖値の上昇をゆるやかにし、インスリンの分泌を抑えることで糖尿病の予防や、血中コレステロール値の改善、便秘の改善や豊富なカリウムによる塩分排出から高血圧の予防につながるという。

大麦はコメに混ぜるだけでふだんの生活に取り入れることができる。一般的には「もち麦(ムギ)」「押麦(オシムギ)」「米粒麦(ベイリュウバク)」「白麦(ハクバク)」などの種類が流通しているが「もち麦」や「押麦」がよく知られている。「もち麦は水溶性食物繊維であるベータグルカンが豊富でモチモチとした食感が特徴。押麦も人気で食物繊維は白米に比べて約19倍、カルシウムは約3倍も含まれています」

初心者はコメと大麦の配合を7対3からはじめて、大麦の配分を半々程度にまで徐々に増やしていくとよい。コメはふだん通り研いで、水加減は通常に。その後、大麦を加えて大麦の2倍の水をさらに足す。大麦はコメよりも浸水率が低く、炊く前には最低30分ほど浸水させる。炊きあがったらよく混ぜるとよりおいしさが増す。