「脳動静脈奇形(AVM)」は、生まれながらに脳動脈と脳静脈が直接つながっている疾患です。治療は「手術」「血管内(カテーテル)手術」「ガンマナイフ(定位放射線治療)」が行われています。どれが適用になるかは、外科手術の難易度をスコア化したスペッツラー分類で決められます。そのスコア表は、「AVMの大きさ」によってスコアは1~3に、「脳機能」のスコアは0か1に、「静脈の流れ」のスコアも0か1になっているので、スコアはそれら合計5点満点で表され、グレードは1~5に分類されます。

グレード1の治療指針は「開頭摘出手術を行う」、グレード2は「開頭摘出手術を考慮」、グレード3は「開頭摘出手術も考慮可」、グレード4は「開頭摘出手術を考慮しない」、グレード5は「開頭摘出手術は不可」、となっています。グレード4、5は手術適用ではなく、カテーテル手術かガンマナイフが選択されます。しかし、カテーテル手術はAVM部分をすべて詰めてしまうことが困難なため、大きなAVMには部分的に塞栓し、残った部分をガンマナイフで治療するというコンビネーションもよくとられています。ただ、今日ではAVMが大きくてもガンマナイフだけで治療は行われています。段階的に照射する方法が行われるようになったからです。このガンマナイフ治療は、少し前までは6時間かかっていたのが、今ではシステムが進化し60~90分で終了します。

ガンマナイフを真の病変部に照射すると、血管の内皮細胞内腔がつぶれ、3年かけて血液が流れなくなるのです。そして、血液は元々あった周囲正常毛細血管を使って静脈に流れる正常な形になります。私たちは、この治療をお子さんの場合も日帰りで行っています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)