大腸がんの早期発見に欠かせない「大腸内視鏡検査」。前回は、検査を受ける人が準備をしっかり行って検査着に着替え、待合室で待つところまで説明しました。今回は内視鏡検査の本番です。

検査室に入り、検査台に横になってリラックスすると、鎮静剤を注射されます。そして、私たちは検査を受ける人の肛門から直径1センチ程度の内視鏡を挿入します。「お尻を見られるのが恥ずかしい」という方もいますが、今は検査着の肛門部分だけが開くようになっているので、その恥ずかしさの心配はありません。

私たちは内視鏡で大腸が伸びないように、押さずにゆっくりと盲腸のところまで内視鏡を挿入するようにします。この段階では、空気を入れたり大腸壁をチェックしたりすることはしません。大腸内をしっかりチェックするのは、盲腸部分から内視鏡を抜き始める戻りのときです。この時に空気を入れて大腸を膨らませてチェックしやすくします。私たちは内視鏡の先端についているカメラからの画像を、大きなモニターで見ながら確認し続けます。

大腸内視鏡検査の難しさは、<1>「大腸はひだが多い」ことと、<2>「曲がり角がある」点です。<1>は、ひだの裏にある腫瘍を見逃しかねません。上手な内視鏡医はまるで手でひだをかき分けるようにして確認をします。<2>は、スーッと抜きかねませんが、内視鏡医が常に自分自身に“きちっと見たか!”と確認していることが大事です。

そして、大腸内視鏡検査の抜き(観察)にかかる時間は、トップクラスの医師でも6分以上はかけます。これより早く終了するのはしっかり確認できていない可能性があります。私の場合、少なくとも6分は絶対に観察、より注意深く観察する時は10分程度です。若い先生が20、30分観察したから腫瘍が見つけられるかというと、それはまた別の話になります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)