「大腸内視鏡検査でポリープが見つかり、その場で切除してもらいました」という患者さんの声をよく耳にすると思います。この大腸ポリープとは、大腸の内側の空間部分に盛り上がったものを言います。そのポリープは、「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」とに分けられます。大腸ポリープの70%以上は腫瘍性ポリープの腺腫ですが、基本的に良性腫瘍と考えてもらって構いません。

その大腸ポリープには、どのように対処すべきでしょうか-。まず、非腫瘍性ポリープは切除する必要は基本的にありません。それは、非腫瘍だからです。では、腫瘍性ポリープの腺腫はどうでしょうか。6ミリ以上の大腸ポリープ(腫瘍性病変の腺腫)は内視鏡での切除が推奨されています。それは、6ミリ以上の腺腫は、5ミリまでの腺腫よりもがんを含んでいた率が高かったからです。だからと言って、5ミリだから絶対にがんはなかったというわけではありません。5ミリと6ミリのわずか1ミリの差は、内視鏡医の測り方でも違ってきたりもします。だから、私たち内視鏡専門医は次のような腺腫は小さくてもがんの可能性も疑われるので、切除します。

それは、<1>「形がいびつ」、<2>「出血しやすい」、<3>「ポリープの中が詰まったように盛り上がっている」、<4>「表面がくぼんでいる」、<5>「盛り上がっているのに、真ん中がくぼんでいる」といったポリープ。私たちは、切除をサイズだけで決めているのではなく、ポリープ(腺腫)の「模様」「色合い」「くぼみ」などで判断しています。

腫瘍性ポリープを切除しないで6ミリまで待つと判断すると、検査を受ける人は気持ち的にも内視鏡検査を毎年受けないといけなくなります。私たちがそのポリープを切除し、組織検査で「異常なし(良性)」となれば、「次の内視鏡検査は3年後です」と言ってあげられます。それが最善の対処法だと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)