大腸がんが内視鏡で治療できるかどうかは、ステージ(病期)で判断します。大腸は内側から「粘膜」「粘膜下層」「固有筋層」「漿膜下層」「漿膜」の5層で、その深達度によってステージは決まっているのです。

・ステージ0 がんが大腸の粘膜にとどまっている。

・ステージ1 がんが大腸の粘膜下層、固有筋層にとどまっている。

・ステージ2 がんが大腸の固有筋層を超えているが、リンパ節転移はない。

・ステージ3 がんがリンパ節に転移している。

・ステージ4 がんが肺や肝臓など、他臓器に転移している。

早期の大腸がんであれば、内視鏡治療が可能です。ステージ0は適応ですが、ステージ1で適応になるのは粘膜下層への軽度浸潤のケース。軽度浸潤とは、がんの粘膜下層への浸潤が1ミリまでです。それならばリンパ節転移がないので、内視鏡治療をしても良いとなっています。この場合、重要なのは「がんの大きさは問わない」点です。

内視鏡治療の腕のいい医師であれば、10センチの大きな早期大腸がんでも内視鏡で切除できます。逆に、内視鏡治療に慣れている医師のいない病院であれば、難しい場所にある2,3センチの早期大腸がんでも外科手術に回されることがあります。ここで重要なのは、粘膜内がんか否かです。「大きいから外科手術」と言われた場合は、患者さん自身がセカンドオピニオンを求めるなど、対応をしっかり考えましょう。

大きくても早期の大腸がんであれば、内視鏡治療でしっかり切除してくれる病院をチェックしておきましょう。私が患者さんに勧めているのは、「大腸に関しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の治療を年間100件以上行っている病院」。これだけの数を行っている病院であれば、経験が豊富な施設なので信頼できます。年間200件以上になれば全国有数の施設ということになります。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)