前回は、「膀胱がん」を早期に発見できたA男さん(60代)のケースを紹介しました。今回は、早期に発見できなかった70代のB男さんのケースを紹介します。
B男さんもA男さんと同じように「血尿」に気付きました。ただ、その対応が異なり、「すぐに血尿は治って、問題はなくなる」と放置したのです。実際、血尿は翌日には出なくなりました。すると、B男さんの頭からすぐに血尿のことは消えてしまったのです。
ところが、1年くらいたったころから、B男さんは排尿時に膀胱に痛みを感じ始めたのです。血尿以外に痛みも…。さすがにB男さんも泌尿器科を受診し、そのクリニックから私どもを紹介され、受診されました。
私たちは「膀胱鏡検査」と「MRI検査」を行い、膀胱がんの広がりと膀胱の壁にどれだけ浸潤しているかを調べました。がんの大きさは4センチ程度で、がんの深さは膀胱の外にまで飛び出している状態。進行がんでした。私は「膀胱を取りましょう」と言いましたが、B男さんは「膀胱はとりたくない。絶対にイヤだ!」の一点張りでした。
B男さんの意見通り、放射線治療の外照射を行いましたが、リンパ節や肺に転移してしまいました。抗がん剤治療も行っており、治療中です。完治は難しいですが、良い薬がどんどん出てきていますので、最後まであきらめることはありません。どの治療を選択するかは、患者さんの選択です。ただ、言えるのは、「血尿に気付いた時は、放置することなくすぐに泌尿器科を受診してください!」ということです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

