ぼくたちは皆、かつてアフリカに住んでいた。そして、そのアフリカを出ようと思った祖先がいた。好奇心が強くておかしな人が、アフリカを出たのだ。

ぼくたちはその末裔(まつえい)。しょせん、ぼくたちはみんな変な人。ちょっと変な人と、うんと変な人がいるだけ。ちょっと変な人が、うんっと変な人に、レッテルを貼っているに過ぎない。

悠然とギラツキ

ヘルマン・ヘッセはノーベル文学賞をとった。「車輪の下」や「郷愁」が有名。エリート校の進学校を退学。知的障害の施設に入れられたこともあった。

大学なんて行かなくてもいいんだ、と書店で働き始める。ここで詩を書いたり、小説を書き始める。自分はちょっと変わっていると、きっとわかっていた。

「庭仕事の楽しみ」(草思社)という本も書いている。人間音痴のヘッセは、庭に救われていた。

シリアスで、人を感動させる小説を書いてきたヘッセが、晩年にこんな詩を書いている。

臨終の前にもう1度、ひとり乙女を捕まえたい。目の澄んだ、縮れた巻毛の娘を。その娘を大事に手に取って、口に、目に、頬に口づけし、スカートを、パンティーを脱がせる。その後は、神の名において死よ、私を連れて行け。アーメン。

ヘッセは最後までおかしな男だった。ギラギラとしている一面もいいし、悠然と年をとっていく姿もいい。自分の中にある獣が暴走しないように、上手にブレーキシステムを作っている。変人で天才。変でもいいのだ。唯一無二の自分の人生を生きればいい。