「肺がん」の標準的手術は、肺葉の1つを切除する「肺葉切除術」と片側の肺を全摘する「肺全摘術」です。しかし、今は、切除する部分が少ない「縮小手術」が増えています。
縮小手術は、2つの考えから行われています。1つ目は、積極的に「腫瘍が小さいから、小さくとろう」。2つ目は、消極的に「肺葉切除が適用だけれど、患者さんが併存症や肺機能が悪いので小さく取ろう」ということです。
2つの考えから行われている縮小手術は、「区域切除」と「部分切除=楔状(きつじょう)切除」が行われています。どちらの手術を選択するかは、腫瘍のできている場所で決まります。腫瘍が肺葉の中枢にあると区域切除、肺葉の端にあると楔状切除で、どちらも2センチ以下の大人しいがんであることが条件です。
区域切除は、肺葉の中で区域分けされている小さい区域を区域ごと切除します。区域切除が多く行われるようになったのは、CTなどの画像診断装置の進歩により、撮影したCT画像からパソコン上で患者個人の3次元(3D)の肺を作ることができるからです。
作製した3D画像で、術前に手術のシミュレーションを行い、切除すべき肺血管・気管支と残すべき肺血管・気管支を同定します。術中はその3D画像をナビゲーションとして用います。そして、区域切除では、リンパ節も切除できます。そのリンパ節を病理検査し、陰性であればここで手術は終了です。リンパ節に転移があれば、手術を肺葉切除に切り替えます。その時は、患者さんの呼吸器機能が許せば、という条件があります。
部分切除(楔状切除)は、腫瘍部分をくさび形に切除します。腫瘍が肺葉の端にあるのできちっと取り切れます。ただし、基本的にはリンパ節は切除できません。
そして、区域切除は保険適用のロボット手術も行われています。ロボット手術の場合、私たちの施設では入院期間は5日間程度で行っています。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

